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こりくから

DIARY & WEBCLAPお礼

2024.05.17
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2009.09.07
動機

「意外に権力志向なんだね。」

それは、我愛羅の風影就任の話を聞いた時の私の率直な感想だった。それから「でもそれって、上の爺さん連中にいいように使われるってことじゃないの?」と続けた。

守鶴を宿した我愛羅が一般部隊に入って少し。上の連中の危惧もわからないわけでもなく、要は彼を籠の中に留めておきたいということなのだろう。

私の辛辣な言葉にも我愛羅は憤るでもなく、悲しむでもなくただ静かに聞いていた。

老成した感のある我愛羅だが、実際のとこはそうでもないと思う。どこを切り取って見ても体温すら感じさせない冷静さを持つけれど、器用なのとは違う気がする。その背に既に負った様々なものを思うと、これ以上そんなものは増やさなければいいと思わずにはいられない。

「向いてないと思う。里の為に、なんて我愛羅に出来ると思えない。」

酷い言葉だったと思う。

何故私はこんなことを言っているのだろう、と言いながら思った。
だって、所詮他人事。
私はそんなことにイチイチ首を突っ込む性質じゃない。

「オレは別に、里の為だけに風影になるわけじゃない。」

それまで黙っていた我愛羅はやはり静かに言った。

「オレは・・・オレの存在を証明する為に、風影になる。」
「存在の証明・・・?風影になるってことは何を犠牲にしても里の為に生きなくちゃならないんだよ!」
「それは忍である以上、お前とて同じ事だろう。」
「・・・!」

その重責はあまりに違うと思うけれど、それでも何ら変わりないと言い切る我愛羅をまじまじと見つめ返す。この少年は自分の望みのために、風影の座すら利用してやるというのだ。
思わず、口元が緩んでしまった。

「あ、あははっ。そっか。なら、いいんじゃない?」

彼の決意に私の同意なんて何の意味も持たないだろう。
けれど、笑った私を見て我愛羅の肩から力が抜けたのがわかった。

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